事業形態の選び方
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前のページまで、起業での事業形態の比較一覧について解説してきましたが、2006年の新会社法などにより、新しく設立できる事業形態も増えています。
起業する際に、どの事業形態を選べばよいか、という点も悩ましいものかもしれません。
私は2004年に有限会社という事業形態を選択して、会社を設立しましたが、現在は有限会社は新たに設立できなくなりました。
当時は、新会社法施行前でしたので、LLCなどは設立できませんでした。
では、私の経験も踏まえまして、どの事業形態を選べば良いかを考察してみます。
通常、ビジネスで営利目的の事業を行う場合、以下の事業形態が選択候補となります。
・個人事業主
・株式会社
・合名会社
・合資会社
・LLC(合同会社)
・LLP(有限責任事業組合)
以下の表の項目から、選択できる、または選択すべき事業形態を考えてみましょう。
設立に必要な最低人数(発起人) | 設立・開業の簡単さ | 責任 | 運営コスト | 課税 | |
個人事業主 | 1人 | もっとも簡単 | 無限 | もっとも低い | 個人事業の事業所得として課税 |
株式会社 | 1人(取締役) | 面倒くさい | 有限 | 株主総会・取締役会・決算広告などが必要でコスト高 | 法人税 |
合名会社 | 1人(無限責任社員) | 簡単 | 無限 | 低い | 法人税 |
合資会社 | 2人(無限責任社員と有限責任社員各々1人) | 簡単 | 無限または有限 | 低い | 法人税 |
LLC(合同会社) | 1人 | 比較的簡単 | 有限 | 低い | 法人税 |
LLP(有限責任事業組合) | 2人 | 簡単 | 有限 | 低い | 構成員課税(パススルー課税) |
1.資金
上の表には、資金の項目を設けていませんが、これは新会社法の施行により、資本金制度が廃止されたため、会社の設立においては資本金の準備など資金のハードルはなくなったためです。
2.設立に必要な最低人数(発起人の数)
1人での設立であれば、選択できるのは、個人事業主・株式会社・LLC(合同会社)となります。
合資会社、LLPの場合は、最低でも2名の発起人が必要です。
3.設立・開業の簡単さ
株式会社以外は、比較的簡単に設立・開業できます。
株式会社は、設立の際に公証人による定款の認証が必要になるので、設立が若干面倒くさいです。
個人事業主であれば、税務署への届出だけですので、もっとも簡単に開業できます。
4.責任
有限責任か無限責任かという点は、表の通りです。
5.運営コスト
株式会社の場合、株主総会や取締役会の開催が必須であり、また決算広告も必要ですので、運営上の事務コストは高くなります。
6.課税
注目すべきは、LLPの構成員課税(パススルー課税)です。
これは、LLPに利益が出た場合、LLP自体には課税されず、構成員への利益分配に課税されるという制度です。
[ まとめ ]
上記の検討から、私が、今から新規に会社を設立して起業するのであれば、株式会社またはLLC(合同会社)を選択すると思います。
会社を拡大していく意思がある場合は、設立・運営において手間・コストはかかりますが、株式会社のほうが良いでしょう。
逆に、一人会社としての運営を続けていくのであれば、LLC(合同会社)の選択も良いものだと思います。
LLC(合同会社)は、検討する価値が十分にある事業形態であると思います。
できれば、パススルー課税制度が、日本でも認められていれば、なお良かったのですけど・・・。
もちろん、設立の手間をかけたくなければ、個人事業主でもOKです。
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